公開シンポジウム: 大学教育と職業との接続を考える──第1回「大学生の就職をめぐる諸問題と当面の打開策」を拝聴してきた。
近年の大学生の就職・採用をめぐって、①早期化や長期化、プロセスの煩雑化など、就職・採用活動の在り方自体に由来する困難の増大と、②景気の悪化によって就職先を見つけられないまま卒業する学生や、「就職留年」を選択する学生の増加 という2つの問題が深刻化しています。
また、これら2つの問題は、既卒の未就業者に対する不利な取扱いという採用慣行によって、互いに結びついていることも広く認識されるようになってきました。
かつてのバブル崩壊以前の日本社会においては、長期にわたる経済成長と、相対的に低い大学進学率の下で、恒常的な人手不足状況が存在しており、そこでは、現在よりもずっと短期の就職・採用活動を通じて、卒業と同時に殆どの学生が就職することが可能でした。
しかし、既にこうした状況が大きく変化して久しい現在、大学教育と職業との接続に関わるシステム全体を根本的に問い直すことが必要となっています。
シンポジウムの第1回目では、大学・企業・政府、そして学生を含むステークホルダーの間で、現在の問題状況に対する認識の共有を図るとともに、当面取るべき具体的な対策を提案することを目指します。
大概の話は既読の本に書いてある事項であったが、普段、就職問題について発言しない出井氏と勝間氏の意見が新鮮味があった。同時に、このような意見がフレッシュに感じられてしまうのは、自分の最近のインプットが教育界に少し偏っているからだろうと反省。
■出井伸之氏の発言から
このシンポジウム自体に僕は驚いている。若年失業率は日本が世界で一番低い。新卒就職率が悪化したといっても、諸外国よりはまだ高い。こうしてメディアが騒ぐほどのものか?
確かに!構造変化が起きているため注目を集めているが、グローバルの視点でみれば正常化のプロセスにあるだけとも言える。
成毛氏がtwitterで「今は最初の会社が最終学歴」と言っていたが、それはそれで確かにと思わざるをえない点ではある。
成毛氏のtwitterをみると、確かに次のログがある。成毛氏の観察眼は流石だ。
@makoto_naruke成毛 眞転職を前提にしてるから、最終学歴=最初の会社 になりかかってるかもですね。 RT @nobuyuki_idei: 今の大企業に入ることが本当に安定指向なのかな!
@makoto_naruke成毛 眞日本ではどうゆうわけか、ここ10年で最終学歴は新卒入社時の会社になりつつあります。ボクはそのことに賛成も反対もしてません。観察の結果です。このことについてはブログなどで長文を書いたほうが良いかもしれませんね。RT @vivio66o: @makoto_naruke“逆”とは?
出井氏の発言に戻る。
どんな人生を送って行くかを自分の目で仮説設定してみないと。みんな一流企業になだれ込んでいっていって、わざわざ高偏差値軍団の中に飛び込もうとするのか。入れそうもない企業を受けるのは記念受験ならぬ記念エントリー?僕は、なるべく競争率の低くて今後伸びそうな会社を自分で考え調べ、飛び込んだものだ。
大学や社会や企業が何をしてくれるかではなく、自分が何をすべきかを考えて動かないと。大学や産業界に変化を求めるのはいいけど、イナーシャが働く大きな組織はほとんど変わらないでしょ。一番変わりやすいのは個人・自分。企業が生存に必死なように、個人だって生存に必死なベンチャーでしょ。自分という個体の生存をどうするか考えないと。
John F. Kennedy元米大統領の超有名スピーチを思い出した。
Ask not what your country can do for you. Ask what you can do for your country.
パネラーの法政大学キャリアデザイン学部長の児美川 孝一郎氏は次の発言;
出井氏の仰る自己責任に偏ってもいけないし、学生を甘やかすような制度もいけない。その間を目指していかなければいけない
尤もなようで微妙に違うと感じられた。卒業後に産業界でもアカデミックの世界でも競争に揉まれながらやっていくことを目指すのであれば、大学はその手前での修練の場を提供するべきではないだろうか。入学前の受験競争で十分に鍛錬されているのであれば、大学はリゾートでよかったかもしれないが、そのような大学はもはや僅かであろう。そのような現状を前にして、それをさらに学生を守る方向で考える必要はないのではないだろうか。もちろん、セーフティネットは必要だが、モラルハザードを起こすレベルにする必要はない。
■勝間和代氏の発言から
「自己啓発商売」というイメージがあった勝間氏だが、発言は案外真っ当であった。(エナメルっぽい赤色のスニーカーを履いていたりしているのは??であったが。)
皆がリスク回避すること(大企業に就職すること)しか考えていない。教育はリスクとどう向き合うか、どのようなリスクを取るべきかを教えるべき。
これ、ご尤も。リスクにはコントロールできるものとコントロールできないものがあり、コントロールできるリスクは積極的に取りに行くべきチャンスですから。
業務に必要な能力を色々と測定しても、結局は実際にその業務・仕事をやらせてみないとパフォーマンスがわからないという研究結果がある。「クォーターバック問題」という。採用基準を明確化することに限界がある。インターンシップでやらせながらみていくしかない。
「クォーターバック問題」は初耳。以下に英文での紹介記事。
最後に、ユーモア豊かにパネルディスカッションをうまく盛り立てて頂いた司会の本田由紀氏に感謝。


3 comments so far...
[...] This post was mentioned on Twitter by Tak_kaT, Tak_kaT, Tak_kaT, Jun SATO 佐藤 純, tacmi and others. tacmi said: RT @j_sato: 出井氏>このシンポジウム自体に僕は驚いている。若年失業率は日本が世界で一番低い [...]
私も、このシンポジウムを聴講いたしました。佐藤さんの意見と同じく、今回、出井さんと勝間さんのコメントに賛同して心地よく聞いておりました。また、牧原さんのいくつかのコメントも、現実的で最もなご意見と思っておりました。
私は、ずっと、ビジネス界で長年過ごし、昨年“卒業”し、今後、非営利として日本の若者、とくに大学生に対しての支援の活動をするべく準備をしています。考え方が、少々、企業界寄りではありますが、それにしても、時折、大学側の方々がおっしゃる「神聖な大学が企業の下に入ることは・・・」とか「大学という聖域」の言葉を聞き、特にここ10年の世界的な変化の中で必死に対応する企業や、一般の個人に比較して、進化の少なさに驚きました。大学は決して、守られた社会でなく、社会全体の一部であることの認識を持つべきと思いました。それでこそ、学生を社会に送る最終段階での教育の重要性が見えてくるのではないかと思いました。以上です。
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